パフォーマンス

「ドゥーリアのボールルーム」は医療的ケアとドラァグという異なる文化背景を持つ人々が協働し、横断的な連帯を実践的に探る企画です。
公募で集まった医療的ケア児を養育する3名がドラァグクイーンへと「変身」し、アートセンターBUGをボールルームに変え、子供の残した声をリップシンクするショーを、会期中の毎週土曜日・日曜日(15:00〜16:00)に開催します。
パフォーマーは自身の声で語るのではなく、すでに声を失った子供たちが残した声、コミュニケーションのよすがである機械の音などに合わせてリップシンクを行います。

逸脱すればするほどその美学の真価に迫るという「キャンプ」という考え方をもとに、ドラァグのパフォーマンスを行うので、皆さんが知っているようなパフォーマンスとは全く異なります。パフォーマンスは変身のためのメイクアップからはじまり、ショー自体は短く、終了後には簡単なトークも控えており、全体を見ても1時間程度のパフォーマンスとなります。

【上演について】
・会期中の毎週土曜日・日曜日(15:00-16:00)開催
※入場無料、予約不要
※BUGでは様々な事情を持つ皆様をおむかえできるよう、スタッフが可能な範囲でサポートや情報提供に努めています。
アクセシビリティの基本情報はこちらから


パフォーマー

大野郁子 / Ikuko ONO

● ドラァグネームとその由来
『ミナアピオン』
生まれつきの疾患があり、医療的ケアがありながらも必死に生きた娘ミナと、蠍のスコーピオンをかけました。カタカナの「ア」は娘の声を表しています。

● パフォーマンス日程
6月13日(土)、14日(日)

● パフォーマンスの見どころ・テーマ
「銀河鉄道の夜」の蠍の話をモチーフにしています。この話の中で蠍は、自らを燃やし夜の闇を照らす、究極の「自己犠牲」の象徴として描かれています。
医療的ケア児のケア者は、時に自己を犠牲にしてケアをすることがあり、またそれを美徳として語られることも少なくありません。
私は、「自己犠牲」を美徳とすることに反発し、またケア者もケアされる存在であり、ケアによって自己を犠牲にするべきではないことを伝えられたらいいです。

● 参加への想い
娘に触れられなくなってから、娘がこの世に確かに存在したことを証明したくて、娘のことや娘への想い、また娘と過ごした日々をきっかけに学んでいることなどをSNSで発信してきました。
その中でいつも感じていることは、娘と過ごした時間によって、私自身が確かに変わったということです。
それを表現できるのではないかと思って参加しました。


竹之内祐子 / Yuko TAKENOUCHI

● ドラァグネームとその由来
『ピンクノナースフクスキー』
「ピンク」といえば息子が幼い頃、ピンクのナースウェアを着た看護師さんに非常に反応が良く、笑顔を見せることが多かったこと。そして、自分は息子が小学生の時に、息子のために一念発起し、准看護師の資格を取得したこと。その二つの理由を繋ぎ合わせてみたら、ピタリと衣装のコンセプトと重なりました。そこで、息子がピンクのナースウエアが好き→ピンクのナース服が好き→「ピンクノナースフクスキー」となりました。

● パフォーマンス日程
6月20日(土)、21日(日)

● パフォーマンスの見どころ・テーマ
普段身に着ける服や靴など全身黒ばかりということもあり、ドラァグクイーンになるため普段身に着けない華やかで女性を象徴するような色を身に着けたい、という願望で「ピンク」を主体にコンセプトを立てました。そこに偶然にも後付けでドラァグクイーンの名前の由来や動機などにそれらしい理由がついてきました。

● 参加への想い
お話をいただいた時は恥ずかしながら深い意味はなく、ただただ単純に「楽しそう!」でした。

動機も後付けになりますが、息子はお腹にいるときには特に重い異常は見つからず、出産時も自然分娩で大きな産声をあげ、元気に産まれてきてくれたものの、出産後は母乳やミルクの飲みが悪く、全然泣かない、からはじまり、目が合わない、首がすわらない、なんで?なんで?が続き、少しずつ先天的な重い障害や様々な内部疾患が発覚していきました。都度、医師から告知を受ける毎に当時は一生分の涙を使い果たしたのでは?くらい泣きました。ある日、彼が懸命に生きようとしてくれているのに、こんなに泣いてばかりでは母である私が息子を否定することにならないか、私が笑顔でいないと息子が不安にならないか、とふと思えるようになり、そこから少しずつ自分自身が強くなっていったそんな思い出があります。私が心から笑って接すると自然に息子も笑顔になります。いつでも息子と笑顔で過ごしたい。それがいつしか日々の願いになっていきました。

そして、息子を育てていく中で楽しい場面でも苦しい場面でも、その都度、息子が繋いでくれた尊い出会いがあり、その出会いの中で綾介君ママなら喜んで参加してくれそう(その通り!)と今回声をかけていただき、参加するに至りました。


山本美里 / Misato YAMAMOTO

● ドラァグネームとその由来
『キセツカニューラ』

● パフォーマンス日程
6月27日(土)、28日(日)

● パフォーマンスの見どころ・テーマ
テーマは人魚姫。わたしの子どもは5歳の時に食道静脈瘤が破裂した際の気管挿管からの抜管が難しく、そのまま気管切開になり、声をなくしました。
物語の中の人魚姫は足を手に入れるために声をなくしました。わたしの息子も健康な体を手に入れるために声をなくしました。気管切開をしてから人魚姫と息子は似ているとずっと思っていたので、今回コンセプトに人魚姫を選びました。

● 参加への想い
わたしは普段「写真」で表現活動をしていて、表現活動をすることはわたしにとって自分をケアする行為でもあります。
今回お話をいただいた時、ふだんわたしがやっていることとコンセプトが同じで共感する部分がありました。パフォーマンスといういつもと違った表現方法なのでどのようなものが自身の中に湧き上がるのかを体験してみたいと思いました。


展覧会クレジット

企画

ドラァグクイーン監修

エスムラルダ

パフォーマンス監修

関根信一

植物(マツバラン)管理・衣装制作補助

森潔

会場内写真・映像撮影

菅野恒平、拔井亮太郎

パフォーマー

大野郁子、竹之内祐子、山本美里

会場設計

NPO法人チア・アート

アクセシビリティに関するアドバイス

五十嵐純子

運営

檜山真有、小林祐希(BUG)

会場掲出物制作

堀田ゆうか、吉沢文江(BUG)

広報

野瀬明子(BUG)

告知物デザイン

堅田真衣

翻訳

植田悠、ベン・ゲーガン(Art Translators Collective)

インタビュー・会場撮影

金サジ、麥生田兵吾

設営

HIGURE 17-15cas


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