開催概要

2025年12月17日(水)~2026年2月8日(日)に開催される「バグスクール2025:モーメント・スケープ」の関連トークイベントとして、青森公立大学 国際芸術センター青森[ACAC]館長の服部浩之さんをお招きし、本展キュレーターの池田佳穂さんとトークイベントを開催します。

服部さんは、美術大学での教育経験を持つ一方で、現在は青森公立大学 国際芸術センター青森[ACAC]館長を務められています。ACACや山口県の秋吉台国際芸術村など、主にアーティスト・イン・レジデンス(AIR)事業を行う機関に約10年携わり、若手アーティストの滞在制作をサポートされてきました。

一方、池田佳穂さんは、2016年より東南アジアを中心にアート・コレクティブやDIYカルチャーなどの調査を行っています。森美術館でのアシスタント経験を経て2023年春に独立され、アートセンターBUGのゲストキュレーターや山中suplexの共同プログラムディレクターなど、多方面で活躍されています。

美術大学出身ではないものの、キュレーターという仕事を生業にしているという共通点や、大きな組織とオルタナティブなスペースの両方を経験しているという点で、お二人は共通しつつも、現在はそれぞれ異なる環境で活躍されています。

トークイベントでは、お二人がどのようにしてキュレーターになったのか、キュレーターの役割(仕事)とはなんなのか、それぞれのお仕事の違いや、働く場所(美術館、アートセンター、フリーランスなど)に感じるそれぞれの魅力について。そしてお二人はどのように展覧会を作っていくのかなど、お話しいただきます。
キュレーターという仕事や、アートに関わるキャリアに興味をお持ちの方に、ぜひご参加いただきたいイベントです!

開催日時

2026年1月16日(金)19:00-20:30

参加費

無料

会場

BUG

定員

40名

服部浩之/Hiroyuki HATTORI
青森公立大学 国際芸術センター青森[ACAC]館長

早稲田大学大学院修了(建築学)後、国際芸術センター青森などでアーティスト・イン・レジデンスを中心に展覧会やアートプロジェクトの企画運営に従事する。フリーランスを経て、秋田公立美術大学や東京藝術大学等で芸術教育に携わる。公共性・地域・横断性等を意識し様々な表現者との協働を軸にしたプロジェクトを展開。近年の携わる企画に第58回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示「Cosmo-Eggs|宇宙の卵」(2019年)、「200年をたがやす」(2021年、秋田市文化創造館)、アートサイト名古屋城(2023年〜)がある。ここ数年は、地域固有の民具や民俗資料などを芸術資源として活用し、新たな芸術表現を見出すプロジェクトを探求している。

池田佳穂 プロフィール写真
池田佳穂/Kaho IKEDA
本展キュレーター

2016年より東南アジアを中心に、アート・コレクティブ、DIYカルチャー、カルチュラル・アクティビズムの調査を行う。森美術館でアシスタントとして経験を積み、2023年春に独立。現在は、山中suplexの共同プログラムディレクター、およびアートセンターBUGのゲストキュレーターを務める。近年の主な展覧会およびラーニング事業の企画に、「バグスクール2024:野性の都市」(BUG、2024年)、「一人で行くか早く辿り着くか遠くを目指すかみんな全滅するか」(山中suplex、2024年)、「神戸六甲ミーツ・アート2024 beyond」(兵庫、2024年)などがある。そのほか、「T3 NEW TALENT」(T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO)キュレーター部門に選出。国際芸術センター青森[ACAC]公募AIR2025ゲスト審査員。シャルジャ・ビエンナーレ16 キュレータープログラム参加。


オルタナティブ&ラーニング―切り拓き、学び合う

本展キュレーターの池田佳穂さんと、キュレーターで国際芸術センター青森・館長の服部浩之さんによる、キュレーターの仕事についてのトークイベントが開催された。
2人は、大学での美術教育を受けることなくキュレーターとして活躍している点や、インスティチューション(美術施設・美術館)とオルタナティブスペースの両方での活動経験がある点など共通点が多い一方で、異なる時間軸・場所で活動を展開してきた。トークでは、キュレーターになった経緯や、仕事の魅力、キュレーターとして大事にしている考え方などについて、相通ずる想いと異なる視点から、たっぷりと語ってもらった。
元々、大学院で建築を学んでいた服部さんは、スペイン留学中にアートセンターに出会った。当時の日本には無かった自由なアートの場の形に刺激を受け、帰国後は秋吉台国際芸術村に勤務しながら自分でオルタナティブスペースの運営を始めた。そして活動はアジアへと広がり、幅広い人の繋がりが生まれ、インディペンデントキュレーターとしての活躍に繋がっていったという。一方の池田さんは、一般企業での勤務の後、国内のオルタナティブスペースを経てから、インドネシアに渡ってキュレーションを学ぶ中で、インドネシアの国民性やアートの実践法に魅了されていった。そして、森美術館で日本の美術館のキュレーションを学んだ後、インディペンデントキュレーターとしての活動に展開させていったそうだ。
2人が共通して強調していたのが、権威的で柔軟性に欠けるインスティチューションに対して(もちろん、潤沢な予算があったり、大規模な展示ができたりなどの利点もある)、仲間と協働して手弁当で現場を作り上げていくオルタナティブなアート活動の魅力と、その原点にあるアジアの人々の影響だ。この点で想いを共有しながら教育普及活動にも強い関心を寄せる2人が、一方通行に「教える」響きのある「エデュケーション」ではなく、作家と参加者が共に学び合う「ラーニング」の重要性を繰り返し強調していたことが印象深い。何と言っても、このトークが行われたのがバグスクールの「ラーニングスペース」ことを考えると、2人の言葉はより一層心に響いてくる。聴衆との質疑応答も活発で、キュレーターという仕事の魅力を十二分に感じると共に、参加した全ての人にとって「学び」のある時間になったに違いない。(本展運営アシスタント:山下港)