開催概要

いまの社会を揺るがす、戦争や紛争、軍事侵攻——。これらの出来事は、会期中も世界各地で激化し続けており、この状況に「AIやドローン、監視カメラ」といったテクノロジーが密接に結びついていることは明らかです。ブラックボックス化されたテクノロジーの存在や構造、またその利用による支配や監視、侵攻について、個々人はどのように捉え、より良い未来に向けて何ができるのでしょうか。

本展「浮遊する器官」では、ウクライナやガザの情勢、あるいは巨大テックカンパニーによる「デジタル封建制」などの議論を土台に、生成AI(Gemini)が演劇を創出する作品を展示しています。そこにはテクノロジーにまつわる倫理、人間の存在論、創造性のありかなど、いくつかの問いが含まれています。

今回のトークイベントでは、科学史や学問の社会制度、そして「意図的に作られた無知(アグノトロジー)」について論じてこられた隠岐さや香氏をゲストに迎えます。隠岐氏と共に本作や現代の科学技術について対話を重ねることで、私たちを取り巻く無知やブラックボックス化を認識するきっかけを探ります。そして、テクノロジーの介在により一層広がる「盲点」について、表現者と学究者それぞれの視点から議論を深め、未来を考えるための時間にしていきます。

【こんな方におすすめ】
▷本展の理解を深めたい方
▷現代におけるテクノロジーのあり方について考えたい方
▷本展について、科学史や哲学的な視点からの話を聞きたい方

開催日時

2026年3月27日(金)19:00 – 20:30

参加費

無料
事前要申込

やんツー/yang02
アーティスト

1984年、神奈川県生まれ。絵を描く、鑑賞する、作品を設置撤去するなど、美術の制度にまつわる人間特有と思われている行為を、機械に代替させるインスタレーション作品で知られる。また、近年はテクノロジーの利便性や合理性の背後に隠蔽される、政治性や特権性、暴力といった問題について考察するため、レーシングカー玩具を鈍速化させたり、自作の大型発電機によって展示空間を発電所に変容させるなど、技術と社会の関わりをテーマに制作している。
文化庁メディア芸術祭アート部門にて第15回で新人賞(2012)、同じく第21回で優秀賞(2018)を受賞。TERRADA ART AWARD 2023 ファイナリスト寺瀬由紀賞。ACCニューヨーク・フェローシップ(2023)にて6ヶ月渡米。近年の主な展覧会に、近年の主な展覧会に、「瀬戸内国際芸術祭2025」(平賀源内記念館、香川、2025)、「Random Access Project 4.0」(ナム・ジュン・パイクアートセンター、龍仁、韓国、2025)、「MOTアニュアル2023」(東京都現代美術館、東京、2023)、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」(森美術館、東京、2022)、「遠い誰か、ことのありか」(SCARTS、札幌、2021)、「DOMANI・明日展」(国立新美術館、東京、2018)、などがある。

隠岐さや香
科学史家・東京大学大学院教育学研究科教授

1975年東京都生まれ。東京大学教養学部教養学科卒。東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。パリ社会科学高等研究院(EHESS)でDEA取得。博士(学術)。広島大学大院総合科学研究科准教授、名古屋大学大学院経済学研究科教授などを経て、2022年から現職。専攻は18世紀フランス科学史、科学技術論。著書に『科学アカデミーと「有用な科学」――フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ』(名古屋大学出版会、2011、第33回サントリー学芸賞受賞)、『文系と理系はなぜ分かれたのか』(星海社、2018)などがある。