沖田愛有美/Ayumi OKITA

1994年岡山県生まれ。2024年、金沢美術工芸大学博士後期課程修了。石川県金沢市を拠点に、漆をメディウムとした絵画制作を行う。植物の樹液であり、制作者の予想を超えた変化をする漆を、人と自然をつなぐ媒介者であると捉え、人間と非人間的な存在との関わりを見つめる。近年では、自然環境と人の営みの相互作用、さらにそれらの関わりの中で紡がれてきた民俗や神話にも関心を広げている。

主な活動歴:
2024年 「暦を運び、種を食(す)く」 白鷺美術、石川
2024年 「具象⇔抽象  —絵画において具象的なものが抽象的なものに変わる瞬間や契機、あるいはその反対の現象」 キュレーター 山本浩貴、ASTER Curator Museum、石川
2024年 「祝福は傷口を伝っていく」 クマ財団ギャラリー、東京 

主な受賞歴:
2020年 佐藤国際文化育英財団 30期奨学生採択
2018年 クマ財団第2期生採択
2017年 第38回瀧富士国際美術賞 優秀賞 

タイトル 「実りについて」
絵画/インスタレーション

展覧会にかける想い:
失われゆく自然との関係や祈りのかたちを問い直す本作を、BUGのある東京駅近くという都市の中心で発表できることに、大きな意味を感じています。漆や、構想のきっかけとなった能登のアエノコトのように、静かに失われつつある営みや文化は少なくありませんが、それらが現代にもなお意義を持ちうること、その可能性を探りたいと思います。9月に向け、小さな部屋で梅雨や夏日を越え、日々様子を変えていく漆と向き合います。 


徐秋成/Xu Qiu Cheng

1993年中国河南省生まれ。東京を拠点として活動している。多摩美術大学メディア芸術コースを卒業、東京藝術大学大学院先端芸術表現科を修了。主にゲームエンジンを使って映像やゲームを制作。死後の世界や夢、記憶、ポストメモリーをゲームと演劇の手法で表現する。

主な活動歴:
2023年 「夢の火山」 脱衣所、東京
2023年「The Colossus on AIR」Parco GalleryX、東京
2023年 「宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓」(チェルフィッチュ) 東京、京都、中国烏鎮、ベルギーブリュッセル、韓国ソウル、フランスパリなど 

主な受賞歴:
2023年 東京藝大アートフェス佳作WEBSITE
2023年 アジアデジタルアート大賞FUKUOKA動画部門大賞 文部科学大臣賞
2021年 多摩美術大学校友会奨学金 

タイトル「さざ波:200年後の大地震」
メディアアート/映像/パフォーマンス等の身体表現

展覧会にかける想い:
夜中の散歩が好きだ。目的地もなく、なんとなくどこかにたどり着けると信じてる。
涼しい風や植物の匂いに包まれながら、足元しか見えない地面、ぐるぐると回るうちに、地球が自転しているのを感じ、また星は地球の外にあるのだと気づいた。
僕はなぜ日本語をしゃべっているのか、日本語からどんなイメージが浮かんでくるのか。
そんな問いを、あるいはこの状態を作品として作った。たぶん。
ぜひ足を運んで、目で見て、耳で聴いてください。 


善養寺歩由/Ayu ZENYOJI

1999年生まれ、東京都出身、東京都在住2023年10 月-2024年3月ドイツ ハレ・ギービッヒェンシュタイン城・芸術・デザイン大学 ガラス・ペインティング学科留学、2025年3月東京藝術大学美術学部デザイン科卒業。AI、メディア、広告などの視覚文化を通じて無意識に再生産されるジェンダー規範や生産消費社会と美の関係性に批評的な視線を向け、ステッカーやマシン、映像、ステンドグラスなど、多様な技法とユーモアを交えたアプローチでそれらの構造を可視化する。排除された身体性や、匿名化された顔の記号性に着目した作品を制作している。

主な活動歴:
2025年 「Mikke Studio with OTOMODACHI」Mikke Gallery、東京
2021年 「〇〇〇〇ッ〇」 上野センタービル、東京
2021年 「Consuming Commodity」 銀座中央ギャラリー、東京  

主な受賞歴:
2025年 東京藝術大学卒業制作展 平成藝術賞
2023年 Geidai Art Fes 2023 優秀賞

タイトル「Generated Pimples」
メディアアート/インスタレーション

展覧会にかける想い:
初めてアワードのファイナリストに選出いただき、緊張と不安を抱えつつも、この機会に深く感謝しています。東京駅にほど近いBUGという空間で、「消費を誘発するための女性像」に疑問を呈す本作がどのように受け止められるのか、とても興味があります。この作品が、私たちが当たり前に見ているメディアの風景に、少しでも違和感を挿し込む機会になればと願っています。


髙橋瑞樹/Mizuki TAKAHASHI

1999年生まれ。誰も見たことないものを見てみたいという漠然とした思いからドローイングマシンを制作している。制御可能な自分以外の他者を介することで、自分自身の想像を超える何かが生み出される瞬間を誘発できると信じており、ドローイングマシンに作用する作者の創造的介入を限りなく薄めたその最果てに、誰も見たことがないものが生み出される瞬間が訪れると考える。 

主な活動歴:
2023年「令和4年度東京藝術大学 卒業・修了作品展」東京藝術大学、東京  

主な受賞歴:
2022年「WATOWA ART AWARD 2022」 大庭大介賞 

タイトル「壊れた時計の針を見つめる」
メディアアート

展覧会にかける想い:
今回の展覧会は私にとって2年ぶりの作品発表の場となり、このような機会をいただけたことを心から感謝しています。
ドローイングマシンに作用する作者の創造的介入を限りなく薄めていくために、今回は儀式の力に頼ることにしました。儀式には代償を払う必要があると考えて、展覧会のあいだは断食をしようと思います。どのようなことが起こるのか全く予想ができませんが、良い展覧会になる気がします。 


吉原遼平/Ryohei YOSHIHARA

広島県出身。シラパコーン大学交換留学。多摩美術大学美術学部絵画学科卒業。ダブルスクールで美学校「現代アートの勝手口」修了。アートサロンえん川設立。東京芸術大学美術研究科絵画専攻壁画研究領域修了。最近は富士塚について調べたりしています。

主な活動歴:
2025年 「ジュリアンの不在」Up&Coming、東京
2022年 「地続きのものたち」アートサロンえん川、東京
2018年 「アタミアートウィーク」熱海市街、静岡 

主な受賞歴:
2021年 アーツカウンシル東京 第3回スタートアップ助成 

タイトル「五大湖 The Great Lakes」
メディアアート/イラストレーション/ランドアート

展覧会にかける想い:
様々な人が訪れると思います。作品を目にする前に広がる無数の経験と、作品を目にした後に広がる無数の経験。その前後に作品が微かにでも影響を与えうるということに、作者としてはとてもワクワクしています。


里央/LIO

1996年長野生まれ、東京育ち。ギリシャ・アテネでの留学を経て、2023年に東京藝術大学美術学部先端芸術科を卒業。クイアとして、人種・ジェンダー等の人間の属性をめぐる世の中に対する問題意識をテーマに、フィクションとノンフィクションを往来するマルチメディア作品を制作している。現在は植民地主義をめぐる問題を考えるために、沖縄に住んでいる。 

主な活動歴:
2023年 「Touch My Mumblings, Hug My Words, Kiss My Singing」旧平櫛田中邸、東京
2024年 「敷居を踏む」 東京藝術大学陳列館、東京
2024年 「饗宴/SYMPOSION」世田谷パブリックシアター、東京 

タイトル「Purple Back」
メディアアート/映像/パフォーマンス等の身体表現

展覧会にかける想い:
現在進行中のジェノサイドに沈黙や冷笑的な反応を見せる業界に失望しながらも、「芸術作品」であることで関心を寄せる人々に訴えかける可能性を捨てきれず、制作発表をしています。その上でも、東京という場所、BUGに集まる人たちが、少しでも社会運動に対するハードルを乗り越え、実際の運動に参加するステップとして作品が機能することを願い、それに向けて最適な方法での展示が実現出来たらと思っています。