本イベントは、精神疾患の治療としてではなく、アーティストが他者と協働する際に生じる「困りごと」を外在化する対話実践として、オープンダイアローグを検証する試みです。
オープンダイアローグとは主に精神医療現場で用いられる、対話実践のアプローチです。グループ間で、対象者の尊厳、権利、自由を尊重したやりとりが生成するためのルールと仕組みが備わっています。今回のイベントではそれを表現の現場にひらくシステム・思想として位置付けてみます。
現在、表現の現場では他者との協働の可能性が強く求められています。一方で、集団創作の場では憧れや信頼、共感といった「情の次元(la dimension affective)」が創作の原動力となる反面、「誰が決めるのか」「誰が沈黙するのか」といった関係の中の力の非対称性を見えにくくしてしまうこともあります。
フランスと日本でプロデューサー/アーティストとして活動する企画者もまた、精神分析の経験や対話的ケアの実践を通して、表現の現場における安全な対話の可能性を探ってきました。
今回は、ラカン派精神分析を長年にわたり研究・紹介してきた精神科医であり、近年オープンダイアローグの紹介・実践に取り組む斎藤環氏をゲストに迎えます。公募で集まった4名の表現の現場に関わる人による公開実践を通して、その方法が創作の現場にどのような広がりをもたらすのかを考えます。
【実践者募集】
イベント内の斎藤環さんによる オープンダイアローグ実践ワークショップに参加していただける表現の現場に関わる方(アートワーカー・アーティストなど)を募集します。
50名のイベント参加者の前でオープンダイアローグをしていただくものとなります。
応募はこちらから
【タイムライン】
① 導入トーク|竹中香子(20分)
・フランスのアーティストを取り巻く精神分析の状況
・実践分析の紹介
・「浅層」という概念への興味
・本日の問いの共有
② オープンダイアローグ実践ワークショップ|斎藤環(1時間40分)
・ODの基本説明
・ダイアローグ
・レフレクティング
・フィッシュボール
③ 休憩(10分)
④ 検証セッション(40分)
1. 実践者フィードバック
何が起きていたかの言語化
創作現場への応用可能性
2. 竹中 → 斎藤への問い(10分)
ODと実践分析の差異
「浅層」という概念について
治療と表現の境界
3. 観察者Q&A(10分)
【こんな人におすすめ】
・創作現場での対話や協働に課題を感じているアーティスト
・オープンダイアローグを表現活動に応用したい方
・精神分析や対話実践に関心のある方
・創作における「構造」を可視化したい企画者・プロデューサー
【参考文献(本企画の思考的背景) 】
・生き延びるためのラカン(著者:斎藤環)
・イルカと否定神学(著者:斎藤環)
・専門家なしでやってみよう!オープンダイアローグ 安全な対話のための実践ガイド(著者:石田月美ほか)
※事前読書は必須ではありません。
2026年4月19日(日)13:00-16:00
BUG
無料、事前要申込
1961年、岩手県生まれ。精神科医。つくばダイアローグハウス院長。筑波大学名誉教授。
筑波大学医学研究科博士課程修了。爽風会佐々木病院などを経て、2023年まで筑波大学医学医療系社会精神保健学教授を務める。
専門は思春期・青年期の精神病理学、「ひきこもり」の治療・支援および啓発活動。
2013年に観た映画『オープンダイアローグ』に強い衝撃を受け、フィンランドの現地を訪れる。以後、オープンダイアローグの日本における第一人者として、入門書の執筆、講演活動、自身のクリニック「つくばダイアローグハウス」の開業など、日々オープンダイアローグの実践、普及に努めている。著書に『社会的ひきこもり』『オープンダイアローグとは何か』『開かれた対話と未来』ほか多数。

2011 年に渡仏。日本人としてはじめてフランスの国立高等演劇学校の俳優セクションに合格し、2016年、フランス俳優国家資格を取得。パリを拠点に、フランス国公立劇場を中心に多数の舞台に出演。2017年より、日本での活動も再開。俳優活動のほか、創作現場におけるハラスメント問題に関するレクチャーやワークショップを行う。2021年、フランス演劇教育者国家資格を取得。主な出演作に、市原佐都子作・演出『妖精の問題』『Madama
Butterfly』。2024年、『ケアと演技』を執筆し、再演を重ねる。2026年、初の長編映画プロデュースとなる太田信吾監督作品『沼影市民プール』が全国公開を控える。「演技を、自己表現のためでなく、他者を想像するためのツールとして扱うこと」をモットーに、アートプロジェクトの企画を行う。

