ドゥーリアのボールルーム』では、主にニューヨークのLGBTQ+コミュニティを中心に育まれてきたボールルームカルチャーが参照されています。そのなかでも本企画が注目してきたのは、1980年代から90年代にかけてのHIV/AIDS禍におけるドラァグの文脈です。

本ワークショップで扱うのは、障害年金の申請時に使用される診断書様式です。
障害年金には、障害の部位や状態に応じて複数の診断書様式が用意されています。
今回はそのうち、HIV感染症に関わる記載欄を含む「血液・造血器、その他の障害用」の様式を取り上げます。

行政文書は本来、記入され、提出され、審査されるためのものです。

このワークショップでは、その文書を実際の手続きの流れから少しだけ切り離し、「鑑賞」する時間をつくります。
欄の配置、言葉の選び方、選択肢、誰の声で書かれているのか、何が書かれていないのか。
そうした形式を見つめることで、社会的な「判断」がどのように振り付けられてきたのかに触れていきます。
そして最後には、現実に向き合ったあとで、その現実を支えている形式を、ほんの少しだけ別の仕方でまとい直してみます。

発言は必須ではありません。
文書の前で生まれる違和感や戸惑い、言葉になる前の感覚も含めて、それぞれの距離で過ごす時間として構成します。

本ワークショップは、企画者であるもさんの急逝を受け、残された問いと、前回の実施で立ち上がった感覚を手がかりに、ドラマトゥルクの呉宮百合香さんとともに、改めて場をひらくものです。
もさんの意図を代弁するのではなく、その不在を抱えたまま、残された企画の形式を借り、少しだけずらしながら応答してみること。この場自体もまた、そのような試みとして行われます。

開催日時

2026年6月11日(木)19:00-21:00

会場

BUG

参加費

無料、事前要申込


photo by Chihiro Okamoto
呉宮百合香/Yurika KUREMIYA
キュレーター/ドラマトゥルク

フランス政府給費留学生として渡仏し、パリ第8大学(芸術学)および早稲田大学(文学)で修士号を取得後、日本学術振興会特別研究員を経て、早稲田大学文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。研究・批評の視点をもとに、現在はダンスを中心とした公演・展示・フェスティバルの現場に携わる。執筆や対話、創作への並走を通じて、作品や企画をめぐる異なる領域・文化・制度のあいだを接続している。美術領域との協働にも取り組み、「MEET YOUR ART FESTIVAL 2024」ではアートエキシビションの共同キュレーターを務めた。横浜市の舞台芸術創造拠点「急な坂スタジオ」プログラム・ディレクター。日本大学芸術学部演劇学科非常勤講師。DEZAR inc. 共同代表。

【近年の主な参加企画】
ドラマトゥルク:北村明子『THE LONG STRONG HAPPY DEATH』(2025)、エイドリアン・ルテイン×松岡大『UNUM』(2025)、笠井叡『畑の中の野うさぎの滑走 一匹のトカゲが焼けた石の上を過った』(2024)、川口隆夫『バラ色ダンス 純粋性愛批判』(2022〜23)。
プロデュース/企画制作:新人Hソケリッサ!(2021〜)、大森瑶子(2025〜)、鯨井謙太郒(2022〜)、武本拓也(2024)。
編集:ヨコハマダンスコレクションWEBマガジン「おどりよむ」(2023〜)、「紙背WEB」ゲスト・キュレーター(2024〜25)。