BUGでは日本とベルリンを拠点する小林颯の個展を開催いたします。本展のタイトル「ポリパロール」は「複数の」を意味する「ポリ(poly-)」と、言語学上で「個人が特定の場で行う発話行為」を表す「パロール(parole)」を合わせた小林による造語です。 

 2020年、小林は公益財団法人江副記念リクルート財団の奨学金を得てベルリン芸術大学大学院に留学しました。しかし留学と同時期に起こった新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、人種による分断や対立を深めました。小林も一時帰国できず、見知らぬ土地でエクソフォニー(ドイツ語で「母語の外に出た状態一般」の意)という状態を経験し、よそ者について考えるようになります。 

展示作品の一つ《つぎはぎの言語》は、ベルリンに亡命した中国四川省出身の詩人との対話から制作されました。詩人は、自身の亡命を「我跑了(私は逃げてきた / I ran.)」と言い表します。小林は、異なる文脈を持ちながら共鳴する言葉としてその言葉を用い、よそ者同士を縫い合わせようと試みます。 

本展では、近年小林が関心を抱くエクソフォニー〉〈移民〉〈クィアネスといったキーワードを元にした、複数の人々のお喋りが聞こえます。ベルリンで様々な背景を持つ人々のお喋りに触れた小林は、装置、映像、多言語詩、Podcastを通して、「個人的なことは政治的なこと」というシンプルで力強いメッセージを伝えます。 

作家紹介
小林 颯/hayate kobayashi

1995年北海道生まれ。ドイツ・ベルリン在住。  

東京藝術大学大学院映像研究科メディア映像専攻修了。公益財団法人江副記念リクルート財団 アート部門 リクルートスカラシップにより渡独。2024年にベルリン芸術大学大学院アートアンドメディア科修了。器として映像を捉え、自作の装置から新たな語りの形を探る。近作は、翻訳とアイデンティティの観点から、装置、映像、詩作を通じて、エクソフォニーと語りについて再考している。2020年制作の「灯すための装置」が第24回文化庁メディア芸術祭アート部門新人賞を受賞。Forbes 30 Under 30 Asia 2022 The Arts に選出された。 

開催情報
会期

2024年6月26日(水)– 7月21日(日)

時間

11:00 — 19:00

休館日

火曜

入場料

無料

主催

BUG