第3回BUG Art Award最終審査レポート

(2025年11月16日公開)

 

第3回BUG Art Awardの最終審査を、2025年9月30日(火)15:00~19:30に実施しました。審査の様子はオンラインで生配信しました。
このレポートでは、当日の様子を要約してお届けします。

 

第3回BUG Art Award 最終審査の流れ
(1)ファイナリストによるプレゼンテーションとそれに対する審査員からの質疑
(2)審査員によるディスカッション
(3)審査員投票(審査員1名につき2票)
(4)投票理由の説明、ディスカッション
(5)再投票(審査員1名につき1票)
(6)グランプリの決定

第3回BUG Art Award ファイナリスト

沖田愛有美
徐秋成
善養寺歩由
髙橋瑞樹
吉原遼平
里央
※プレゼンテーション順・敬称略

 

第3回BUG Art Award 審査員

菊地敦己(アートディレクター、グラフィックデザイナー)
中川千恵子(トーキョーアーツアンドスペース 学芸員)
百瀬文(美術家)
やんツー(美術家)
横山由季子(東京国立近代美術館研究員)

プレゼンテーション・質疑応答

沖田愛有美「実りについて」

 

作品中央の女性像は山姥と自然の要素、漆の木を一体として描いた。人間の物語を直接描くのではなく、漆と人間の関係にフォーカスしようという考えから当初プランから変更した。生々しい傷が残っている漆の木を置くことで、漆が思い通りにできるものというよりも命をいただく相手であることを提示している。その痛みを想像することで、物ではなく他者として認識できる。絵画も経年変化を続けるため、生きた漆と対面する空間として構成した。山姥を描くことで、自然との距離をもう1度考え直すことになり、作品の根底にある文化の継承という問題、自身も家業である林業を継ぐことができないということについて柔軟に考えられるようになった。漆の文化に対してはコミットできると前向きな気持ちになっている。
個展では、森から川、海へとつながるランドスケープのように、能登の震災以降に関わった作品を展開する。日本だけでなく、東アジアや東南アジアなど漆の文化圏にも目を向けたい。移動のハブである東京駅から、国境を越えて広がる漆を通じて交差する空間への想像力を喚起したい。

Q.審査員「伝統的な漆絵のイメージと異なりペインタリーな部分や、マットに見える箇所があったりしますが、技法の面でこだわったことを教えてください」
A.沖田「ペインタリーな描き方についてはベトナムや中国の漆絵から影響を受けています。マットな部分は磨く回数を減らすことで表現しました。技法的には、削れた下の層を意識していたり、経年変化で数年後に見えてくるものを考えています」

 

Q.審査員「グランプリ個展について、日本と東南アジアの関係というと植民地の問題など非対称性がありますが、漆の文化はそういうものと関係なく連綿と続いてきたということでしょうか?」
A.沖田「台湾に日本の漆を植えていたり、そもそも戦時中には漆を軍需品の塗料としても使っています。そういう人間との関わりも含めつつ、植物種としての漆のアジアへの広がりを可視化したいと思っています」

徐秋成「さざ波:200年後の大地震」

 

テーマは「ポストメモリー(記憶の継承)」。映像は3つのチャプターからなる。最初は日本神話の国産み。次のチャプターでは、宇宙に移住し、長い年月を経た人類の末裔が、かつての地球を想像してシミュレートする。最後にその2つの時間軸の間に私がいるというチャプター。タイトルの「さざ波」は中国系アメリカ人の歴史学者に、「200年後の大地震」は、100年前の大地震のときの朝鮮人・中国人虐殺にインスパイアされている。つまり、この作品はこれまでのずっと前、これからのずっと先を考え続けること。明るい空間での展示を考えるにあたって、作品と観客の関係性がとても重要なポイントだと思い、演劇作品に出演している経験から、LEDパネルを「第四の壁」と捉え、見えない観客席をつくった。
私の作品には毎回、次作品の予告がある。今回の作品の終わりのシーンで宇宙にたくさんの石があるが、あれは「さざれ石」を表している。自分なりの現代日本の誕生や、テクノロジーの時代について制作していく予定だ。演劇と同様に最近はゲームも総合芸術といわれることがある。ゲームエンジンという手法、「夢と記憶」という私の研究テーマをさらに発展させていきたい。

Q.審査員「俳優としての経験が作品によく出ていると感じましたが、演劇と映像の空間や身体についてどのように考えていますか?」
A.徐「はじめは日本語の勉強になればと軽い気持ちで始めた演劇でしたが、舞台に立った瞬間に体が動かなくなる経験がありました。たとえば日本語を話すときと中国語を話すときで人格さえも変わっている感覚があります。自分の体はどういうものにコントロールされているかを意識しています」

 

Q.審査員「グランプリ個展でも、総合芸術としての演劇とゲームという2つの表現形式を取り入れた空間をつくるということでしょうか?」
A.徐「はい。ゲームエンジンを使用した映像以外にも、VR作品やAR作品などもつくっています。BUGという1つの物理空間に、複数のタイムラインでリアリティを提示することができると考えています」

善養寺歩由「Generated Pimples」

 

AIによって生成された女性像と、そこからこぼれ落ちたニキビという身体的痕跡とをインスタレーションで対比させた。「16歳の日本人女性」というプロンプトを使用して生成された画像に、実際の若年女性の多くが経験するニキビが表されない要因として、学習元となる表象において、均質な肌が常に選び取られてきたことがあると考えた。ニキビを、消費のために排除される不可視の身体の象徴と位置づけ、そうした存在の削除を可視化させることを試みた。二次審査からの変更点として、LEDをニキビマシンに追加したこと、駅構内にあるサイネージをより想起させるように什器の高さを4mまで上げたことなどがある。3体の女性像には三美神を引用しており、綿々と受け継がれてきた一つの消費のかたちが、AIの登場でどのように変化していくのかという点を示したい。
個展では、大学留学先で1年ほど勉強していたステンドグラスを中心とした展示を構想している。宗教や権力の庇護のもと発展してきたステンドグラスは、非常に政治性の高いモチーフ。ポピュリズムを煽るSNSなどのメディアのあり方を、倫理の「割れ窓」と定義した作品を提示したい。

Q.審査員「床のコードがとても造形的だと感じましたが、これは元々計画されてたことですか?」
A.善養寺「ケーブルを見せることは初めから決めていました。触手が伸びるようでもありますし、一つ一つのニキビがイメージに対応するなかで、分断された個別の事象ではなく連続した表象の実相として表現できないかと考えました」

 

Q.審査員「グランプリ個展のプランでは、今回と大きく変わってステンドグラス作品の展示ということですが、より政治的な内容にもなっています。その理由について教えてください」
A.善養寺「もともと手工芸を続けてきた自分にとって、ステンドグラスは親和性が高いように感じています。表現方法は変わっても、メディアとそれを消費する人の動向といった自分の関心は変わりません。技法ではなくコンセプトを軸にしていきたいと考えてます」

髙橋瑞樹「壊れた時計の針を見つめる」

 

目に見えない力を誘発する装置としてドローイングマシンを儀式的に用いている。作者の一方的な創造的介入を薄めていった先に、何が起こるのかということに関心がある。描画に直接関係のない無駄な動きこそが重要なのではないかという着想から、そのような儀式的な要素を強めたのがこの作品。マシンを構成する部品の多くがデッドストック品で、過去の痕跡を内包していない空っぽな存在であるからこそ、何かそこに秘められているものがあるのではないかと考えた。儀式が冗長性、厳格性、反復性という構造を持っているように、マシンは198の手順をひたすら繰り返す。自分も儀式に参加し、展示期間は代償として断食を行い、毎日会場に「巡礼」する。一方的な介入ではなくて、互いに同じ方向を見て、存在しないものを信じるというドローイングマシンとの向き合い方を実践する。
今回は、マシンと良好な関係を築いているが、グランプリ個展では、機械を抑圧する作者である自分とそこからの解放を目指すマシンという構図で、パフォーマンス要素を含んだ展開を構想している。圧縮した空気のエネルギーを使って、自分に向けて絵の具を発射してくる大きなマシンを展示したい。

Q.審査員「断食をしていることはキャプションに明示されていないが、鑑賞者にとって知ることができなくていいということでしょうか?」
A.髙橋「代償を払った人でなくとも、親密な関係であれば儀式の効果を得られるといわれることから、明示するのではなく秘密を共有するようなかたちをとっています。毎日在廊しているので、会話のなかで伝えるようにして、儀式に鑑賞者を連れ込む効果を狙っています」

 

Q.審査員「作者の創造的介入を薄めたいということでしたが、機械自体の創造性という予測できない不確定性が引き出されている部分はありますか?」
A.髙橋「あります。絵の具がノズルから出るタイミングというものは、自分が創造的介入をしていますが、重力によって落ちる場合もあれば、コンベアに乗って落ちる場合もあります。コンベアにも絵の具が固まっていき真下に流れないので、支持体に、どのタイミングで落ちるか、どの方向に落ちるかは自分に介入できない要素です」

吉原遼平「五大湖 The Great Lakes」

 

一言でいうと場所を示す作品。これまでも地図のような作品をつくりたいとずっと考えてきて、言葉や概念に物質を与える作品を制作している。距離や場所ということが大きなテーマとしてあって、自分と対象の距離や、場所に根付くアニミズム的な感覚などの実際の場所性というものを、一貫して扱っている本作では、コンクリートを混ぜるための「トロ舟」という道具を「五大湖」だと言い張ることによって、実際のズレを乗り越えて本当に湖として捉えることができるという人間の認識の可能性や限界について考えている。ロシアによるウクライナ侵攻の時期に始めたシリーズで、使用しているGPSも軍事技術から発展を遂げた。遠くの何かを単に想像させるのではなく、想像させるということについて考えさせられる作品になった。
個展のプランとしては、距離や社会、世界をテーマにした5つの作品を通して1つの地図を表現したい。ビルの背後にある新幹線の振動を伝える椅子や、祖母の見たB29の飛行機をモチーフに、実際のこのビルの屋上に飛行機を設置する作品などを考えている。リクルートの社員による部署対抗でのアートアワードも開催したい。

Q.審査員「同じような作品を以前にも展示されていると思いますが、今回大きく変更している点などはありますか?」
A.吉原「今まではレディメイドのありものを使うことが多かったのですが、今回はもう少し踏み込んで、物質と概念と対比でいうと概念に寄せる試みをしていますが、もっと物質に寄せた方がよかったかもしれないなという思いもあります

 

Q.審査員「グランプリ個展プランにあるリクルート社員によるアートアワードについて、もう少し詳しく教えてください」
A.吉原「私自身、制作資金のために働いていますが、チームで合意を取って何かを進めるというのは皆で答えを見つけるプロセスだと思っています。売り上げを目的としないアート作品という、絶対に答えのないものを、部署ごとに会議を経た合意によって制作したらどうなるだろうという興味があります」

里央「Purple Back」

 

友人兄弟に対して行ったインタビューのダイアログ、私自身がドラァグキングとしてリップシンクしたりしなかったりする映像を、ハンモックに座って視聴してもらう作品。今呼びかけられているBDS運動の対象となる企業名などは、口にテープを貼ってリップシンクをしないようにした。パレスチナでの虐殺について、オンライン上でウィットネスしている人とそうでない人の間にすごく意識の差が生まれている。会場に来る人に、BDS運動のことをはじめ今起きていることを知ってほしく、連帯運動に関心を示したり現場に来ている人の声を集めて制作したZINEや、デモやアクションの情報を知れるQRコードなどを展示した。社会運動と作品制作を同時に実践している自分自身の仕事は、一般論では検証されづらい事象に、切り目を入れたり、新しい角度から検証したりすることだと考えている。
グランプリ個展では、性別のトランジションを経験し、テストステロン投与を予定している自分自身の変化していく声を使用した作品を入り口に展示し、その付近では同時に運動に関わる人のイベントも開催する。世の中から聞かれづらい声や、抑圧される身体をテーマに展示を構成したい。

Q.審査員「タイトルの『パープルバック』の意味について教えてください」
A.里央「ブラックルーツを持つ友人たちの、肌の色による経験の話は私には代弁できないと判断し、画面外に退出しています。残されたグリーンバックの背景が徐々に補色の紫に変化していきます。私が出ているシーンではなく、差別を巡る話にも目を向けてもらうためにタイトルを『パープルバック』にしました」

 

Q.審査員「アイデンティティ・ポリティクスなど重いトピックを扱っていますが、この映像作品にもユーモアを感じますし、グランプリ個展のプランにも『ユーモラスな雰囲気』と書かれていて、作品においてユーモアを重視していますか?」
A.里央「はい。スティグマがあったり、そもそも話を聞いてもらえない状況を、ユーモアで飛び越えられたらと考えています。私自身がトランスノンバイナリーとして、一概にホモソーシャルなシス男性みたいな存在を批判することは簡単ですが、憧れみたいな気持ちも同時にあります。ユーモアもあるけどすごく大事な話もしている2人の温度感がいいと思っています」

ディスカッション

審査員間でディスカッションを行った。プレゼンテーションとは逆順で各ファイナリストを議論した。

里央「Purple Back」について

 

「運動についてのリーフレットやQRコードなどが鑑賞のノイズにならないかという意見があったが、里央さんがそうせざるを得ない社会の状況があるし、BDS運動を知らない人にとっては純粋な説明にもなる。抑圧された存在というものをテーマにしている点でも自然にリンクしている。」

「映像が抜群に面白い。一方で映像内の人物もハンモックに座っていることで、映像の外の鑑賞環境との連続性を出そうとしたのかもしれないが、うまくいっていないように感じる。しかし、真摯に友人を演じる里央さんですら完全には他者と同期できない距離が上手く表れているのが逆に良いとも感じた」

「6人のなかでもグランプリ個展のプランが具体的で、空間の使い方もイメージしやすく、純粋に見てみたい。ガラスに貼り付ける作品は、道を歩く多くの人の目にもきっと止まると思うので、BUGでやる意義を感じる」

吉原遼平「五大湖 The Great Lakes」について

 

「一見すると拍子抜けするような展示だが、ディティールを見ていくとじわじわくる雰囲気が持ち味だと感じた。これまではレディメイドが多かったのが、今回はクラフトの要素もあるが、レディメイド感とクラフト感の対比に意味が強く出すぎてしまっている。大きな構成は上手だが、プロダクトの扱い方には検討の余地がある」

「QRコードを読み取って地図をタップしていくと、2本の指が2本の足に、指先が身体そのものになる感覚があり、スマホが身体化した世界で妙に触格的なリアリティが面白かった。ビッグライトとスモールライトを交互に使っているような、子どもの想像力のまま本気でやっていることに好感が持てる」

「本物の五大湖ではなく、国内に五大湖を見つけるという、どこかローカルかつノスタルジックな切実さがあるのが良い。シミュレーションされたものの方にリアリティが宿るというような関心自体が面白い」

髙橋瑞樹「壊れた時計の針を見つめる」について

 

「ドローイングマシンの儀式という言葉から受ける印象の割には動きが少ない。設計通りにいかなかったところがほぼないというのが、その物足りなさにつながっているのかもしれない。ロジカルに組み立てて工学的な部分と、断食というスピリチュアルな部分のギャップがすごい」

「動きが地味であることは、スペクタクルの否定として好意的に受け止めることができるが、塗料がそれこそ受動的に垂れてくる部分はもっと見せたらいいのではないか。ポロックのような派手さではなく、ただ重力に従ってだらしなく落ちていく現象そのものを見せた方がいい」

「アーティストが自分から言いたくない気持ちも分かるが、断食をしていることを鑑賞者に伝えないのはどうか。儀式というパフォーマンス性を重要視しているのだとは思うが、キャプションの素材欄を使うなどしてスマートに見せられないか」

善養寺歩由「Generated Pimples」について

 

「ニキビマシーンの動きを目立たせるために一つ一つLEDを仕込むなど、細かい所まで繊細に考えて作られている。一方で、均質な照明で一度にすべて見せてしまうのでなく、照明に時差をつけてニキビだけが見える時間があるなど、コレオグラフィー的な見せ方をすると別の展開があるかもしれない」

「二次審査のときも含めて言語的な説明がとても上手。なぜそのマテリアルを使うかなど明解である反面、インプットとアウトプットが直接的過ぎる感じがしてしまう。デジタルサイネージを模した作品ならば、本物よりもクオリティを高くしないと面白くない。すごく説明的に見えてしまう」

「グランプリ個展がステンドグラスの作品ということで、かなりタイプが異なるが、空間がどうなるかもプランからは分かりづらい。善養寺さん自身の関心の中心としては、広告やステンドグラスといったメディアとそれを消費する人の関係に関心があるようなので、今後どういう展開があるのかは見てみたい」

徐秋成「さざ波:200年後の大地震」について

 

「LEDパネルは輝度が高いため、モニターで見ていたときよりも映像自体がよく感じられた。スケールも相まって没入感があり、目で映像を見ているのでなく、身体で映像空間を体験している印象になった。現実世界に半身を置いたまま、もう半身を映像の中に置くような感覚が際立っていた」

「ゲーミングエンジンというソフトウェアを使った制作を行いながらも、演劇的な経験ももっている。なおかつ、複数の言語を使うこともできて、それらを組み合わせられるアーティストというのは珍しい。徐さんの強みになっていくだろう」

「他作品とリンクする要素があるとのことで、複数の作品が集まる展示で映像作品がどのようにリンキングしていくのか。また、演劇的な導線がどのようにつくられていくのか。それらが発揮されるだろうと思うので、グランプリ個展を見てみたいという気持ちがある」

沖田愛有美「実りについて」について

 

「磨きの按配でマチエールの差をつけられる素材の特殊性が面白い。この独特の透明感は他の素材では絶対に出せないため、ペインタリーな要素と漆の特徴の組み合わせに新たな表現の可能性を感じる。漆ならではの黒が、森の奥の闇のイメージと必然的につながっている。非常に工芸的な黒の部分と、少し目を動かせば絵画空間という行き来をもう少し意識してもいい」

「絵画自体をもっと見たかった。手前に物が置かれていることで、漆の素材感もあいまって、絵画も一つの物質として見えてしまい、絵画空間のイリュージョンを体感しづらくなっているように感じた。油絵などよりも制作に時間がかかるとは思うが、もっと色々なバージョンの絵画が見られるとよかった」

「東南アジアや東アジアに広がる漆の文化圏という沖田さんの関心は面白い。漆というメディアを通してアジアの歴史を見通すという野心的なプランのグランプリ個展になっていて、見てみたいと思わされた。漆だけでなく、出自からの必然的な問題に向き合っている点でも説得力がある」

投票

◼︎1回目の投票結果
菊地:徐、里央
中川:徐、里央
百瀬:徐、里央
やんツー:徐、里央
横山:沖田、里央

 

→沖田1票、徐4票、里央5票

沖田愛有美への投票理由
「伝統工芸的な素材を使いつつも、漆というものが持っている素材の特徴や歴史性、地域性をふまえて、広範な関心で取り組んで新しい挑戦をしようとしている」
「グランプリ個展もすでに具体的に考えられていて、テーマと自分の表現、漆という素材の結びつきを深く掘り下げて考えられている」

 

徐秋成への投票理由
「自身のバックグラウンドや演劇的な経験を踏まえたうえで映像作品を構成するという、彼にしかできない世界観を展示空間でも展開でき力が明確に示されている」
「展示方法をLEDパネルに柔軟に転換したり、グループ展で発表するということで風通しのいい空間で周りの作品とどう響かせ合うかを判断できたりしている点も評価した」

 

里央への投票理由
「当事者でないと無関心に通り過ぎるかもしれないテーマながら、引き込む力のある作品。作品として閉じているのではなく、社会や世界に開かれている点を評価した」
「他アーティストも素晴らしかったが、資料で見た通りの印象である作品が多いなか、いい意味で実物が資料が全然違うものに見えた感覚が大きい」

◼︎2回目の投票結果
1回目の投票で票が入った3名の中から1名を選出し、再投票。

 

菊地:里央
中川:徐
百瀬:里央
やんツー:里央
横山:里央

 

→徐1票、里央4票

 

里央に票を入れた4名の審査員が改めて選出理由を説明。他1名もその理由に納得し、最終的に里央が第3回BUG Art Award グランプリに決定した。