ホーム・ケアリストの創作プロセス

⚫︎語る・聞かれる
ケアに関する物語の執筆に向けて、過去/現在の体験を語る。ナラティブパートナーと協働することで、自分でも気づいていなかった想いや葛藤を外在化する。

書く
自分から出てきた言葉を「台詞」として書き直すことで、フィクションとしての自分の物語に出会い直す。

⚫︎演じる
『サテライト・コール・シアター』にやってくる観客に電話を通して、モノローグを語る。


サテライト・コール・シアターのセノグラフィー* について(セノグラファー:中村友美)

BUGの中に劇場空間を構築し、そこに舞台セットとしての「コールセンター」という状況が設定されています。カフェエリアとも繋がる本会場では、仕事をしたりお茶をする場としても利用できます。
その中で作品にハプニング的に出会い、現実とフィクションが絶妙に混ざり合う体験をすることができます。
この場所はケアのターミナルであり、様々な人が行き交う交差点です。他者の生の「声」が響き合うこのシアトリカル(演劇的)な時間と空間は、毎日少しずつ変化していきます。

*セノグラフィー(Scenography)の語源は「場面(Scene)」+「記述・表現(Graphy)」を組み合わせたものです。単なる装飾ではなく、人と環境の関係性を視覚的かつ感覚的に捉え、創造的に表現することを目指す考え方です。

■空間イメージ


セノグラファー

中村友美 プロフィール写真
中村友美 / Tomomi NAKAMURA

新潟県柏崎市出身。舞台美術家/セノグラファー。一児母。舞台・ダンス・オペラ作品中心に近年では音楽イベントや展示の空間の設計・デザインも行う。BUGでは2024年「キャラクター・マトリクス」の空間設計を担当。舞台芸術の子育てと仕事の両立を考える団体『プラットフォームデザインlab』代表。女子美術大学非常勤講師。


表現の現場でのハラスメント対策に関して 

表現の現場でのハラスメントが深刻化しています。ハラスメント防止ガイドラインを作成したり、事前にハラスメントに関する講習を受けるなど、事前の対策が進んでいます。しかし、個人的には、ハラスメントはひとりひとりの「心構え」で防げるものではなく、可視化されにくい創作環境の「構造」によって引き起こされてしまうものではないか、と感じています。この見えない敵と戦うためには、安心で安全な労働環境を担保する必要があります。このプログラムでは、人件費にかけるお金を節約しないということをモットーに準備を進めてきました。関わる人すべての創造性が搾取されない労働条件を設定し、ひとりひとりの心構えに頼らない、新しい「安心・安全」な創作環境を目指します。
(企画者:竹中香子)


作品クレジット

企画・演出

竹中香子

ホーム・ケアリスト

全国から公募した「家」でのケアに従事する12名の方々

ナラティブ・パートナー

うちはし華英(文筆家)
佐々木将史(編集者)
田村かのこ(アートトランスレーター)
萩原雄太(演出家)
南野詩恵(劇作家・演出家・衣裳作家)

制作

佐藤瞳

プロデュース相談

武田知也(一般社団法人ベンチ)

演出相談/会場動画・インタビュー撮影

太田信吾(一般社団法人ハイドロブラスト)

運営

片野可那恵、檜山真有(BUG)

会場掲出物制作

堀田ゆうか(BUG)

広報

野瀬明子(BUG)

告知物デザイン

芝野健太

会場撮影(スチール)

加藤甫