この世界に、バグを。
この世界に必要な違和感。ふいに気づきをもらう瞬間。
そんな無数のハプニングに、私たちは出会いたい。
何かを変えていくだろう荒けずりな才能を、
不可解に思う人もいるかもしれない。
でも、その可能性に、賭けようと思う。
ぶち当たる、発見する。繰り返す化学反応のある日常こそ現実。
BUG は、そういう場でありたいです。
BUGは、2023年9月20日に、株式会社リクルートホールディングスが運営するアートセンター*としてオープンしました。これまでも社会貢献事業として、銀座で30年以上「リクルートの2つのギャラリー」を運営してきた経験を生かして、アーティストやアートワーカー**はもちろん、社会人や学生、外国の方など、多様な来館者の方々にとっても新しい視点や人、物事に出会える開かれた場所となるよう努めていきます。
また、展覧会やイベントの開催において協働する、アーティストやアートワーカーの皆さんと信頼関係を構築し、全力で挑戦できる場と機会を創ることを大切にします。皆さんが長期的に安心して活動できるよう、アート業界の働き方や環境改善にも積極的に取り組みます。BUGでの新しい活動を始めるにあたり、以下の方針で活動していきます。
*展覧会事業だけでなく、アーティストの活動をサポートし、アートを通じてさまざまな人が出会い、互いに影響を与え合う場所という意味を持ちます。
**美術館やギャラリー、あるいはフリーランスでアートに関わる仕事をされている方。
3つの活動方針
BUGは、アーティスト/アートワーカーが働きやすい環境を整備し、キャリアアップにつながる機会を提供することを通じて、彼女/彼らが持続的な活動ができるよう支援します。
1. 多様な状況への配慮
アーティスト/アートワーカーの置かれている環境の理解に努め、対応することを目指します。
・イベント開催は、できる限り子育てや介護との両立が可能なスケジュールで調整。
・子育て中のアーティストにイベント登壇や展覧会を依頼する際は、育児環境を確認の上、適切なサポートを検討(例えば、日曜に実施せざるを得ない設営や夜間イベント登壇時のベビーシッター代補助など。)
・BUG Art Awardでは、年齢ではなく制作活動年数で応募資格の有無を判断。 制作活動年数10年以下のアーティストが応募可能であり、「制作」の定義は応募者自身が決定。出産や療養、介護等の理由によるブランクを差し引くことも可能。
・一都三県以外に在住のアーティスト/アートワーカーが参画しやすい交通費の支給(公共交通機関利用)。
2. 適切なパートナーシップ
フリーランスとして働く人が多い業界であることを踏まえ、その権利を尊重し、安心かつ継続的に働いてもらえる環境を整備します。
・アーティストフィー/キュレーションフィーなど各種報酬の適切な設定。
・契約の締結にあたり、事前の内容説明と確認を実施。
・契約書には著作権等をはじめとしたお互いの権利や報酬/制作費について明記し、実動開始前に契約を締結。
・展覧会の運営に際して、アーティストやアートワーカーの怪我等に対応できる保険に加入。
・アートワーカー(企画者)向けプログラム CRAWLでは、参加者が安心してプログラムに取り組めるようコミュニケーション方法についてのガイドラインを制定。
・BUG Art Awardでは、ファイナリスト/審査員の声をプログラムに反映。
3. キャリアの支援
アーティスト/アートワーカーが存分に挑戦できる場を設け、次の機会へつなげるための支援を行います。
【アーティスト向け】BUG Art Awardの開催 ※出品料不要
応募から最終審査の過程の中で、さまざまなスキルや経験を積む機会を設けます。
また、インストーラーや他のファイナリスト、BUGスタッフと協働する場を作り、アーティストとしてキャリアを築くための後押しを行います。
・ポートフォリオ作成やステートメント執筆のための講座など、複数のレクチャーイベントを開催。
・一次審査を通過したセミファイナリスト20名(組)に対して、審査員全員からフィードバックコメントを提供し、展示・設営に関するレクチャー/相談会も実施。
・審査員は、アーティストと近しい目線で伴走・アドバイスし、共に時代を作っていただけそうな方々、また、BUGに込めた想いに共感し、一緒に新たなアワードを作り上げていただける方々に依頼。
【アーティスト/ キュレーター向け】展覧会の開催
アーティスト/キュレーターには時間に余裕をもって展覧会の開催を打診し、十分に検討できる期間を設け、無理のないスケジュールで準備を進めます。
制作予算に関しては、展覧会の設営費とは別に、アーティストフィー/キュレーションフィーや新作の制作費を提供します。その上で、当人が見据えるキャリアビジョンの実現に向けて協働していきます。
・さまざまな経験やキャリアを重ねるアーティストを展覧会で取り上げる。トークイベント等を通じてアーティストの考えや作品へのこだわりを広く紹介。
・日本語と英語での展覧会情報の発信やインタビュー動画等とアーカイブの蓄積。
・新作を制作するために必要な制作費の支給。
・作品販売の経験を積むための支援(価格設定、梱包方法、販売必要資料の提供等)を通じて、アーティストのキャリアの選択肢を増やす。
【アートワーカー向け】イベント・プログラムの開催
アート関係者の仕事を広く紹介し、スキルアップやネットワークを形成する機会を提供します。
・ジャンルを横断した企画者のネットワーク形成と人材育成のためのプログラム(CRAWL)の実施。
・アートワーカーのキャリアをサポートするイベントの開催。
来場者のみなさま、リクルートグループ従業員のみなさまへ
BUGの活動に共感してくださるみなさまと共に、今後のBUGやよりよい文化芸術業界の未来をつくっていきたいと考えています。
これからもBUGの活動を見守り、ときにご指導いただきながら、サポートしていただけると嬉しく思います。
〈参考文献〉
・Hettie Judah “How Not to Exclude Artist Parents”(2022),「子育てするアーティストを排除しないために 文化施設やレジデンスのためのガイドライン」,BACK AND FORTH COLLECTIVE訳,http://www.artist-parents.com/ja/(参照2023-6-25)
・art for all「美術分野における報酬ガイドライン策定のためのアンケート調査結果」, https://docs.google.com/presentation/d/1p1whb4nPQhS0yBQvWJEqvaSKNi8tx5ldMejaZd_Ueok/edit#slide=id.p(参照2023-6-25)
・表現の現場調査団「ジェンダーバランス白書 2022」,https://www.hyogen-genba.com/gender(参照2023-6-25)
2023年9月20日公開
2024年4月1日更新
2025年4月1日更新