第1回BUG Art Award
応募状況・審査の選考経緯レポート

(2023/9/11 公開)

 

審査員コメント

※審査員コメントはこちらのページに掲載しています

応募状況

応募期間 2023/3/1(水)10:00~5/17(水)17:00

応募総数 415件

 

■応募者の傾向

BUG Art Awardでは複数名のグループ等でも応募可としたが、グループ応募は7%、個人の応募は93%と個人応募が圧倒的に多い結果となった。

 

応募者の現住所は、東京が42.7%と多数を占めた。次いで神奈川が11.6%、そして大阪が5.5%、京都が5.3%と続く。その他の都道府県は全て5%以下であった。BUG Art Awardでは一都三県在住者以外も応募しやすいよう、審査や展示のための打ち合わせにかかる往復交通費(公共交通機関)を負担する。今後は一都三県以外の応募者がより増えるよう告知等で工夫したい。

 

応募作品の分類(応募者自身が応募時に最大3つまで選択)内訳は、“その他”が37.6%と最も多く、“その他”の中身としてはインスタレーションが1/3以上を占めた*。次点は、絵画が33.7%、以下、メディアアート14.2%、写真11.3%、彫刻11.1%、イラストレーション7.2%と続く。これ以外のジャンルは全て5%以下であった。

 

制作活動歴(制作の定義は応募者自身で決定)は、5年以下の応募者が69.6%を占めた

* 今回、応募作品分類の選択肢にインスタレーションの項目はなし。インスタレーションを構成する個々の表現手法やジャンルを把握するため項目から除外した

一次審査

応募総数415件のうち応募基準を満たしていない19件を除いた、396件を審査員が書類で審査した。

 

(1)応募書類の事務局チェック

・全ての応募書類を事務局がチェックし、明らかに著作権などの権利を侵害しているもの、法律に違反しているもの、過度に公序良俗に反しているものは一次審査の対象外とした。

・ファイナリスト展(6名のグループ展)のプランが9㎡を超えている応募も散見されたが、今回は応募要項での説明が不十分であったため、一次審査の対象とした。動画の提出URLがYouTubeかVimeo経由ではないものや、動画URLの入力欄以外(出展作品や過去作品のPDF内)に動画URLを記載している応募書類に対しても、同様の説明不足があると判断し、一次審査を行った。

・第2回からは、応募要項により分かりやすく条件を記載すると同時に、応募要項違反の書類は一次審査対象外とする。

 

 

(2)審査員各自による個別評価

・審査員は2023/6/12(月)〜7/3(月)の期間、各自で応募書類をチェックし、評価を実施。

・評価は、決められた審査項目に対して点数をつけた上で、“二次審査に選出したい20名”に○を付ける方法で実施。

※先入観やバイアスをなくすため、審査員はアーティスト名の記載がない書類で審査を行った。

 

(3)審査員5名による一次審査(オンライン)

・7/16(日)10:00〜16:00にディスカッションを行い、二次審査に進むセミファイナリスト20名を選出。

 

ディスカッションのサマリ

審査員には、審査員各自の評価を集計した表を配布。集計表は、“二次審査に選出したい20名”として多く○が付いた順で記載。○の数が同じ場合は、その中で点数が高い順に配列した。

審査の冒頭でディスカッションの進め方を確認。○が3つないし2つ付いている応募者17名は、ディスカッションの俎上に載せることが決定。また、○が1つの65名に対しては、その中から審査員各々が特にディスカッションしたい応募者を数名選出。ディスカッション対象者は34名に決定。その後ディスカッションを進める中で、2名が追加となり36名に。

 

36名一人ずつの応募書類を全員で見返し(オンラインで応募書類を画面共有)、評価したポイントを各審査員が説明。

意見を交わしながら、“二次審査進出決定”、 “一次審査落ち”、 “保留”の3つに分類。

保留の中から二次審査に進めたい応募者を投票し、過半数を獲得した者が二次審査進出決定となった。過半数に満たない応募者については、また1名ずつ審議を実施。

最終的には、事務局の方針である「選出者内でジャンルやテーマのバランスは取らず、純粋に上位から順に決定する」ことを踏まえ、20名を決定。

 

ディスカッション時に評価ポイントとして出た意見は、「コンセプトや表現手法として新しさを感じられる応募者を推したい。」、「過去から継続して表現を探っている様子が見受けられている点を評価したい。」、「コンセプトおよびコンセプトを形にする手法が確立されている応募者の作品は目を引く。」などである。

 

一方、評価されにくいものとして、「他の場所で展示した内容をそのまま持ってきている応募者は、BUG Art Awardで勝負するぞ!という気持ちが感じられない。」「既に熟練し、他のスペースや機会でも取り上げられそうな応募者は、わざわざBUG Art Awardで選出する必要がないように思う。他で日の目を見ないような応募者を積極的に選出していきたい。」という意見が上がった。

二次審査

(2023/9/22  公開)

(1)応募者と審査員が対面で審査(BUGにて開催)

8/20(日)10:30〜18:00、セミファイナリスト20名(組)が、審査員5名全員と一対一で話す対面審査を実施。

一応募者あたりの時間は10分間で、応募者による展示プランと作品についてのプレゼンテーション、および、審査員からの質疑を行った。

 

二次審査では、応募者が審査内で説明を行った内容のうち、ファイナリスト展のプランと作品を主な評価材料とした。審査員は各々、決められた審査項目に対して点数をつけた上で、“ファイナリストに選出したい6名”に○を付ける方法で評価した。

(2)審査員5名によるディスカッション(BUGにて開催)

8/21(月)10:00~16:00、前日に審査員各自が評価した内容を踏まえて、審査員全員でディスカッションを行い、ファイナリスト6名を選出。

ディスカッションのサマリ

審査員には、審査員5名の評価を集計した表を配布。集計表は、“ファイナリストに選出したい6名”として多く○が付いた順で記載。○の数が同じ場合は、その中で点数が高い順に配列した。

審査の冒頭でディスカッションの進め方を確認。○5つの応募者は1名、○3つは1名、○2つは8名、○1つは6名であった。その中で、○2つまでの10名はディスカッションの俎上に載せることが決定。

○が1つの6名に対しては、その中から審査員各々が特にディスカッションしたい応募者を選出し、最終的には12名がディスカッション対象となった。

 

まずは○の数が多い順に取り上げ、各審査員が評価点について意見を出し合った。一通り意見が出た後、改めて各審査員がファイナリストとして選出したい応募者を3名ずつ挙げて投票を行った。

投票後、○が一つ以上ついた応募者に対して、再度ディスカッションを行った。ここでは、「BUG Art Awardが発展のための機会になり得るだろうか?」、「今後もこのテーマを続けていく意志が窺えるか」、「選択しているメディウムや作品のサイズ、空間構成などが表現したいことに合っているか」、「鑑賞という行為や体験について考え抜かれているか」、「表現に独自性があるか」といった観点から、審査基準を含めてディスカッションが展開された。その後、2回の投票とディスカッションを繰り返し、最終的にファイナリスト6名が決定した。

 

ディスカッション時に評価ポイントとして出た意見は、「表現することやテーマに強い執着が見られる。」、「作品と対峙する人への影響をよく考えられている。」、「現在のスタイルだけで固まらず、今後も展開していく可能性を感じる。」などであった。

 

一方で、評価されにくいものとしては、「応募者にとって、またBUG Art Awardという機会に対して、プランの必然性を強く感じない。」、「テーマが魅力的であっても、あまりにファイナリスト展のプラン、作品の内容が決まっていない場合、判断材料不足で評価し得ない。」、「既存の技法、展示方法への批判的検討が足りないと思われる。」、「応募者が説明してくれた作品の特徴が写真(PDF書類)からは分かりかねる。特にテクスチャーが特徴である場合は、作品現物を見せてほしい。それが難しい場合は、特徴の伝わる資料を用意してほしかった。」という意見が上げられた。