本展は、第2回BUG Art Awardの一次審査と二次審査を通過した6名のファイナリストによるグループ展です。10月8日(火)にはグランプリ1名を選出するための公開最終審査を行います。グランプリ受賞者は、約1年後にBUGにて個展を開催し、設営撤去をあわせた作品制作費上限300万円と別途アーティストフィーが支給されます。
BUG Art Awardは、制作活動年数10年以下のアーティストを対象に株式会社リクルートホールディングスが運営するアワードです。審査員からのフィードバックの提供や、展示・設営に関する相談会の開催などのサポートを行い、審査過程においてもアーティストの成長に関与*していきます。BUGの前身であるガーディアン・ガーデンが31年間実施してきた『ひとつぼ展』(1992-2008)、「1_WALL」(2009-2023)を引き継ぎ、新しい表現への挑戦やアーティストのキャリア形成をバックアップします。
みどころ
応募総数265件から選出された6名のファイナリストによる展覧会
今回選出された6名のファイナリストの表現は、絵画、ドローイング、彫刻、インスタレーション、映像、メディアアート等多岐にわたります。6名から提出された展示プランに関するコメントを以下にご紹介します。(五十音順)
新井毬子「Scapegoat」(メディアアート/彫刻/映像 )
AI画像生成によって生まれたテクノロジーにおける新たな妖怪「Entity」(実体を意味する)。生成と生殖をオーバーラップさせながら、様々な手法によるイメージの大量の複製、編集の過程によって生成されたEntityはオリジナリティが曖昧になっている。類似と差異の基準はどこにあるのか。分類/カテゴリーの解体や、著作権などの法制度との衝突と回避から、生成物ひいては人間における曖昧な類似と差異について探っている。
岩瀬海「SRSシリーズ」(彫刻)
ジェンダーやセクシュアリティをテーマに彫刻作品の制作を行っています。生皮や人毛、木、石膏、鉄、FRPといった様々な素材を使って作品を作ることが多いです。SRSシリーズは、既存の法制度を出発点に、この国は何をもってして個人の性別を決定しているのか、そんなことを考えながら制作した作品です。医療や法制度から、当事者の置かれた暴力的でありながらもどこか儚く、緊迫したアンビバレントな状況を示唆しています。
志村翔太「モビル文学 東京ボーイズアンドガールズ」(メディアアート/映像/文学)
「モビル文学」シリーズは自転車を使った移動並びに投影技術を文学表現と融合させることを目指し、映像装置に改造した自転車を用いて作品発表場所を舞台に執筆した小説をキャンバスとしての街に描き出す連作です。本作「モビル文学 東京ボーイズアンドガールズ」では、BUG周辺の有楽町・銀座・日本橋を舞台に執筆した小説三作を映像として編集し、それぞれの街をサイクリングSしながらテキストを投影した様子を展示します。
城間雄一「ある座」(絵画)
絵画という表現を使い人と人を取り巻く様々な関係性のあり方を、存在のようなものが立ち上がるように制作している。近年ではモチーフとそれが置かれている場に興味を持ち、その曖昧な繋がりを解体したりまたそれを接合したりして絵画空間の研究をしている。一度解体された私たちの情報を少しずつ間違えてパズルのようにはめ直し、違和感を持った一つの塊として絵画の中に表現しようと試みたりもしている。
宮林妃奈子「あいだの手」(絵画/ドローイング/インスタレーション)
粗い目の麻布や細やかな綿布、木や紙ひとつひとつの肌理などを「受け止めてくれる手」として絵を描く。自分が手を伸ばし、絵の中に触れ描いているかと思えば、「受け止めてくれる手」は私のほうまでやってきて、私を受容して解放する。そうして、私たちの手は行き来する。
絵と向き合うとき、私たちの周りには空気や広がりがあることを忘れない。身体的な距離はジェスチャーでもなく、温度や湿度を持った空間とともに存在している。
矢野憩啓「see-through」(絵画/ドローイング/インスタレーション)
①作者の属性やそれに関するモチーフ/出会ったものを描いた絵画作品と ②自立した展示空間 ③展示に使われる単語を説明する”単語帳”の3つから構成される展示です。
絵画は作者に付属する属性と出会ったモチーフの輪郭を曖昧にし、単語帳はそのモチーフ・属性・カテゴリーに貼られる単語や言葉の意味を浮遊させます。自身で組み立てた展示空間は、その浮遊した絵画と言語が、漂うように、また自由に出入りできるように組み立てます。
約3ヶ月の準備期間を経て、より磨きをかけた最終展示プランを決定
展示位置をファイナリスト同士の話し合いによって決定することが、本展の特徴の一つです。お互いのプランを聞き、どうすれば自分の作品、そして6名の展示がより良く見えるかを議論し、展示位置を決定しました。希望者には実際のBUGの空間で展示・設営のシミュレーションをする機会を設けています。プロのインストーラー(展示設営技術者)にアドバイスをいただきながら設営の技術面や安全面などの懸念点を解消し、各自プランをブラッシュアップしていきます。設営を自分自身で実施することも、バグ展ならではの特徴です。ファイナリスト決定から展覧会が始まるまでの約3ヶ月間、6名は切磋琢磨し、準備を重ねています。
会期中に、トークイベントと公開最終審査を開催
ファイナリスト6名によるオープニングトーク
会期初日の9/25(水)19:00から開催するオープニングトークでは、BUG Art Awardに応募したきっかけや、展示作品について説明したり、質問をし合ったりなど、さまざまなテーマから6名を知っていただく楽しめるトークを企画しています。
イベントページにて、音声アーカイブを公開しています。
公開最終審査
10/8(火)の公開最終審査では6名のファイナリストが、バグ展の展示内容とグランプリを受賞した際の個展プランについてプレゼンテーションを行います。そのプレゼンテーションと展示作品、グランプリ個展プランの3つの要素をもとに審査を行い、審査員の議論を経てグランプリが決定します。
最終審査はご予約いただいた方を対象に、全て公開(オンライン配信)で行います。
※展示について
最終審査の当日、BUGは休館しています。会場にお越しいただいても、展示や審査はご覧いただけませんのでご了承ください。 会場には、別の日にぜひお立ち寄りください。
開催情報
新井毬子、岩瀬海、志村翔太、城間雄一、宮林妃奈子、矢野憩啓
2024年9月25日(水) – 2024年10月20日(日)
11:00 – 19:00
※9/25(水)はトークイベント開催のため、18時に閉館します。
火曜
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