本展は、第2回BUG Art Awardの一次審査と二次審査を通過した6名のファイナリストによるグループ展です。10月8日(火)にはグランプリを選出するための公開最終審査を行い、グランプリ1名を決定します。グランプリ受賞者には、設営撤去をあわせた作品制作費上限300万円と別途アーティストフィーを支給し、約1年後にはBUGにて個展を開催いただきます。

 

BUG Art Awardは、制作活動年数10年以下のアーティストを対象に株式会社リクルートホールディングスが運営するアワードです。審査員からのフィードバックの提供や、展示・設営に関する相談会の開催などのサポートを行い、審査にまつわる過程でアーティストの成長を支援します。新しい表現に挑戦したい、アーティストとしてキャリアを築きたいという想いを応援したいと考えています。

ファイナリスト6名は話し合いによって展示位置を決め、BUGの空間を使って展示・設営のシミュレーションなどを行いながら、最終の展示プランを決定していきます。応募総数265件から選出された6名のファイナリストによる展覧会です。どうぞお楽しみに。

 

最後に、ファイナリストから提出された展示プランに関するコメントを紹介します。(五十音順)

 

新井毬子「Scapegoat」

AI画像生成によって生まれたテクノロジーにおける新たな妖怪「Entity」(実体を意味する)。生成と生殖をオーバーラップさせながら、様々な手法によるイメージの大量の複製、編集の過程によって生成されたEntityはオリジナリティが曖昧になっている。類似と差異の基準はどこにあるのか。分類/カテゴリーの解体や、著作権などの法制度との衝突と回避から、生成物ひいては人間における曖昧な類似と差異について探っている。

 

岩瀬海「SRSシリーズ」

ジェンダーやセクシュアリティをテーマに彫刻作品の制作を行っています。

生皮や人毛、木、石膏、鉄、FRPといった様々な素材を使って作品を作ることが多いです。

SRSシリーズは、既存の法制度を出発点に、この国は何をもってして個人の性別を決定しているのか、そんなことを考えながら制作した作品です。

医療や法制度から、当事者の置かれた暴力的でありながらもどこか儚く、緊迫したアンビバレントな状況を示唆しています。

 

志村翔太「モビル文学 東京ボーイズアンドガールズ」

「モビル文学」シリーズは自転車を使った移動並びに投影技術を文学表現と融合させることを目指し、映像装置に改造した自転車を用いて作品発表場所を舞台に執筆した小説をキャンバスとしての街に描き出す連作です。本作「モビル文学 東京ボーイズアンドガールズ」では、BUG周辺の有楽町・銀座・日本橋を舞台に執筆した小説三作を映像として編集し、それぞれの街をサイクリングしながらテキストを投影した様子を展示します。

 

城間雄一「ある座」

絵画という表現を使い人と人を取り巻く様々な関係性のあり方を、存在のようなものが立ち上がるように制作している。近年ではモチーフとそれが置かれている場に興味を持ち、その曖昧な繋がりを解体したりまたそれを接合したりして絵画空間の研究をしている。一度解体された私たちの情報を少しずつ間違えてパズルのようにはめ直し、違和感を持った一つの塊として絵画の中に表現しようと試みたりもしている。

 

宮林妃奈子「あいだの手」

粗い目の麻布や細やかな綿布、木や紙ひとつひとつの肌理などを「受け止めてくれる手」として絵を描く。自分が手を伸ばし、絵の中に触れ描いているかと思えば、「受け止めてくれる手」は私のほうまでやってきて、私を受容して解放する。そうして、私たちの手は行き来する。

絵と向き合うとき、私たちの周りには空気や広がりがあることを忘れない。身体的な距離はジェスチャーでもなく、温度や湿度を持った空間とともに存在している。

 

矢野憩啓「see-through」

①作者の属性やそれに関するモチーフ/出会ったものを描いた絵画作品と ②自立した展示空間 ③展示に使われる単語を説明する”単語帳”の3つから構成される展示となります。

絵画は作者に付属する属性と出会ったモチーフの輪郭を曖昧にし、単語帳はそのモチーフ・属性・カテゴリーに貼られる単語や言葉の意味を浮遊させる。自身で組み立てた展示空間は、その浮遊した絵画と言語が、漂うように、また自由に出入りできるように組み立てられる。

開催情報
ファイナリスト(五十音順)

新井毬子、岩瀬海、志村翔太、城間雄一、宮林妃奈子、矢野憩啓

会期

2024年9月25日(水) – 2024年10月20日(日)

時間

11:00 – 19:00

休館日

火曜

入場料

無料

主催

BUG

新井 毬子/Mariko ARAI

1993年東京都生まれ、在住。東京藝術大学大学院美術研究科修了。ぬいぐるみや人形のような装置を用いて、現代の人間における根源的な行為や欲求を探るようなインスタレーション作品を、既存の社会構造、または民俗などを題材に表現している。

 

主な活動歴:

2023年 プロジェクト個展「抵抗と受容のパッケージ」西会津中学校、福島
2023年 グループ展「Identified – 相対的Xと絶対的X – 」コートヤードHIROO、東京
2022年 都美セレクショングループ展「ものののこしかた」、東京都美術館、東京

 

主な受賞歴:

2021年 メトロ文化財団賞
2017年 平成藝術賞

タイトル 「Scapegoat」
メディアアート/彫刻/映像

展覧会にかける想い:

従来のコンペティションでは扱いづらいテーマを今回は設定しているので、驚きつつも有り難く思っています。この機会を最大限に活かして、今の自分ができること、考えていること、伝えたいことをより多くの人々に見て頂けるように制作に取り組んでいきます。

岩瀬 海/Umi IWASE

1998年三重県生まれ。秋田県在住。2023年秋田公立美術大学大学院複合芸術研究科修了。蟹座。姉が4人と妹が1人。ジェンダーやセクシュアリティを主なテーマに彫刻作品を制作。社会から周縁化された人々と、それらへの暴力について考えています。

 

主な活動歴:

2024年 「Being Belonging」The side、京都
2023年 「When we talk about us,」秋田市文化創造館、秋田
2022年 「例えば(天気の話をするように痛みについて話せれば)」 BIYONG POINT、秋田

 

主な受賞歴:

2023年 「秋田公立美術大学 卒業・修了制作展」複合芸術研究賞
2022年 クマ財団6期奨学生 採択
2022年 「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2022 マイナビ ART AWARD」優秀賞

タイトル「SRSシリーズ」
彫刻

展覧会にかける想い:

小さな畑を始めました。秋田から東京へ「水やりをしなくちゃ」と、思いながら向かっています。
タネから育てた植物はまだ小さく、水分が足りないとすぐに枯れてしまう。近所の友人に水やりを任せて数日、家を離れて展覧会に参加します。この展示が始まる頃にはたくさん収穫できているといいな。

志村 翔太/Shota SHIMURA

1993年生まれ。神奈川県川崎市出身。実家は自営業のクリーニング屋だった。世界旅行、事業開発を経てIAMAS(情報科学芸術大学院大学)博士前期課程に在籍。松尾芭蕉が『奥の細道』の結びの地とした岐阜県大垣市への引越しをきっかけに「モビル文学」シリーズの作品制作を開始。芭蕉の意志を継ぎ世界中の街での発表を志す。

 

主な活動歴:

2023年 六本木アートナイト2023「都市のいきもの図鑑」六本木ヒルズアリーナ、六本木
2021年 個展「遊園的明滅展」(坂根大悟とのユニットWeltreisendeとして)高架画廊、神田
2020年 「散歩する文学賞」主催

タイトル「モビル文学 東京ボーイズアンドガールズ」
メディアアート/映像/文学

展覧会にかける想い:

深い絶望に縛られた孤独な夜も、強い諦念に魅入られた光のない朝も「書くこと」だけは辞めずに続けてきた。これは使命で、運命で、天命で、十年前も一昨日も昨日も今日もそうだ。だから明日も明後日も死ぬ刻もそうだ。現在の志村翔太のマスターピースとなる作品を創り、強烈に魂を擦り付けた旅の栞としよう。観に来てくれる全ての人にLOVE!

城間 雄一/Yuichi SHIROMA

1998年埼玉県生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻油画第一研究室在籍。主に茨城県を拠点に活動。

 

主な活動歴:

2024年 「地とレンズ」 Empathy Gallery、東京

 

主な受賞歴:

2022年 WATOWA ART AWARD 2022 準グランプリ 薄久保香賞 ヒロ杉山賞

2019年 シェル美術賞2019 入選

2017年 第27回全日本アートサロン 文部科学大臣賞

タイトル「ある座」
絵画

展覧会にかける想い:

今回は展覧会に参加できるということですごく感謝しています。大きな絵を今回展示させていただくのですが、大きな絵はそのサイズ上展示する空間も難しくこのような機会をもらい展示ができ人に見ていただけることがとても嬉しいです。ご一緒させてもらう他の方々の作品も楽しみです。 色々な方に見ていただけると幸いです。

宮林 妃奈子/Hinako MIYABAYASHI

1997年北海道出身、東京都在住。2021年多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業。2023年ベルリン芸術大学美術学部卒業、Thilo Heinzmannよりマイスターシューラー取得。現在、東京藝術大学大学院美術研究科絵画専攻在籍。
「描くこと」「描かされること」の関係について、主にペインティング、ドローイング、コラージュ、リトグラフ等、素材や場との対話を重ねることを大切に制作しています。

 

主な活動歴:

2024年 「project N 93  宮林 妃奈子」東京オペラシティー アートギャラリー、東京
2024年 「土に隠れた文字のしっぽ」Gallery 38、 東京
2023年 「Hinako Miyabayashi」Galerie Bernd Kugler、インスブルック、 オーストリア

 

主な受賞歴:

2021年 アートアワードトーキョー丸の内 2021 建畠晢賞
2021年 多摩美術大学卒業制作展 令和2年度 福沢一郎賞

 

タイトル「あいだの手」
絵画/ドローイング/インスタレーション

展覧会にかける想い:

物質が空間になる時。薄い綿布や粗い麻、顔料や油などの物質が、私の手を通して、仕草や表情をともなった広がりとして現れます。絵の持つ可能性を探っていきたいです。

矢野 憩啓/Yasutaka YANO

2000年生まれ、千葉出身。2023年多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻を卒業後、就職。現在千葉で活動中。主に自身の付属する属性や身体、自身の出会った物を絵画に起こし、それらに関わる言語を単語帳というテキストフォーマットにて制作。またそれらを展示する空間を自身で制作し、展示が作品の完成として構成し発表している。

 

主な活動歴:

2023年 「Ongoing祭りー Art Fair Ongoing」Art Center Ongoing、吉祥寺
2023年 「GREEN SCREEN」Penguin’s House Green、相模原
2022 年 「Luminous」多摩美術大学 大学内 東棟 402gallery、八王子

 

主な受賞歴:

2023年 第58 回神奈川県美術展 入選

タイトル「see-through」
絵画/ドローイング/インスタレーション

展覧会にかける想い:

働きながら制作を続けることは私にとっては不可能に近く、今回の公募に挑戦してる際、絵画はほとんど描けていません。また、本来であれば非常に曖昧で不確定な自身の作家像、作品の指し示す地点というものを、仮であるにしろ公募に向けて確定していかなければいけない作業は非常に大変でした。しかしながら最終的にグループ展に参加できることはうれしく思います。いい作品にしたいですし、いい展示にしたいです。